今なら、今なら、その背中に手をかけて、戻ることも・・・。できるのかもしれない。


どんどん、遠ざかっていく、裕典の背中をただ、呆然と見ることしか、出来なかった。


あまりにも、長い時間、一緒に居たから。

その場で、裕典を見送ることしか、できなかった。

思考回路は完全に停止してしまった。


横を通り過ぎていく、酔っぱらいが、からかってきり、商店街の真ん中で、ひたすら涙を流している女子を、哀れな目で見る人たち・・・、もう、そんなのどうでも良かった。



あたしは、今日、大切なものを、一つ、失ったのだから・・・・。