人には、それぞれ、幸せのかたちがあって。

結婚したり。仕事に生きたり。趣味に生きたり。


人それぞれ、感じ方は違うから。


あたしと、一輝、裕典の幸せの基準が違うのは、仕方のない、どうしようもない事実。


可奈は、バンドが、自分の人生だから、そのために仕事まで何度も転職し、がんばっている。

ミホは、バンドも好きだけど、彼と同棲、いずれは、結婚するという目標があるから、毎月、少しずつだけど、貯金してるんだ、って言ってた。


裕典は、自分の仕事に誇りを持っていたし、楽しんでいたから、彼女なんて、いらないと言っていた。


一輝は、今のバンドがインディーズでは、大きくなってきたので、このままインディーズの中で、大きくなりたいと、いつも会うたびに話してくれる。


夢も、幸せの感じ方も人それぞれ。

人それぞれ違うのだ。


その価値観や、夢が重なる場合もあれば、それが引き金で、全てが崩れ去るときもある。

危険な綱渡りをしながら、あたしたちは、日々、前に進んでいるのだと、思う。



あたしの・・・・・。
あたしの幸せは??なにかしら。


バンドも好き、ないとやっぱり生きていけないし、仕事。仕事も、接客してるときは、とても生き生きしていると思う。

でも、それよりも大切なもの。

それは、一輝と裕典の存在で。

一輝にはときめきを。裕典には癒しをもらっている。

あたしの幸せは、そこにある。

所詮。恋にしか生きられぬ、中身のない、哀れな乙女なのです。

それでも、一輝と裕典のおかげで、自分らしく、生きていられるのだ。

ちゃんと、背筋を伸ばして、前をみることが出来ているのだ。

あたしの中心は、誰かを想う、ということなのだとやっと気付けた。