白の世界

いつものように、吉祥寺の駅で待ち合わせをして、一輝と会う約束をしていた。

最近は、週に一度か二度、一輝と会うようになっていた。


会って、一輝の部屋に行って。レコード聞いて、お酒飲んで。

って、たいしたことはしてないのだけど。



いつものように、一輝が片手にビールの缶を持って現れた。

「こんばんは。」

「こんばんは。」


いつも、こんな調子なのだ、あたしたちは。


「いつも、お邪魔しちゃってごめんね。」

「いや、別に何も予定ないし。いいよ。俺も、楽しいし。」

「それならいいのだけど、迷惑じゃないかなって、少し心配してた。」

「迷惑だったら、部屋にあげたりしないよ。」

「そうか、そうだよね。」

そんな会話をしながら、いつものように一輝の部屋に向かった。


あたしは、一輝の彼女になりたいと、本気で思っていた。あやふやな関係を嫌うあたしは、とにかく形としてでもいいから、彼女、になりたかった。

何回かそういう話しはしてみたのだけど、いつも、「バンドが忙しいから。」と言って、はぐらかされてばかり。


実際に、一輝のバンド、FISH WIFEはライブもコンスタントにしていたし、スタジオのリハも、週2のペースで入っていたから、なかなか時間がとれないのも解っていた。


それでも、仕事とバンドと、忙しい時間を縫って、会ってくれるのだから・・・。

いつも、そんなことばかり、考えて。


なかなか前に進めない恋に、少し苛立ち始めていた。