あたしが、店頭に出てきたのに気づいた二人は、気まずそうに頭を下げて、店内に向かってきた。

一輝は、相変わらず、迷彩柄のナイロンのジャケットにジーンズ、マーチンといういで立ちで、ふちが赤いキャッツアイのサングラスをかけていた。

憲次は、一輝よりも背が高く、かなり細い。
細身のライダースジャケットに、ダメージの入った細身のブラックジーンズを合わせ、首元にはドクロのバンダナを巻いていた。足下ははきつぶされた、黒いコンバースのスニーカーだ。

二人とも手には、もちろん発泡酒・・・。


「び、びっくりした・・・。」

「今日はね、一輝くんの付き添いで来たんだよね。」

「付き添い?」

「そう、咲ちゃんとお話ししたい、したい、っていつも言っているから。連れてきたよ。」

一輝は顔を赤らめて、下を向いている。
この人は、綺麗な顔をしているのに、異性に対してはめっきり弱いのだ。

「一輝くんさ、自分から行動出来ないからさ。」

「いや、来てくれてうれしいけど・・・。今日7時までだから、その後何か食べに行こうか。」

「そうだね。あと、30分か。じゃ、外で待ってるから、終わったら電話してよ。」

「了解。それじゃあ、あとで。」

「おいっす。」

そういうと、二人は足早にエレベーターの方へと歩いていった。


あたしと、話ししたいって、どういうこと?なのか?

何故か、ライブハウスで会ってもあまり話しをしてくれないのに。

ていうか、憲次君との方が良く話すし、仲がいいし。

想いが混乱して、棚卸しの書類どころではなくなってしまった。