「なんで化粧なんかしてんだよ」

「!」


後ろから体に回していた腕を解くと、奏は私の目の前にたって真っ直ぐと見つめてきた。その瞳はどこか寂しげで。


自然と繋がれた手。
振りほどくことなんて…出来なかった。



「…」

「アイツ等がお前の子と可愛いって」



黙っている私に奏は淡々と話し出す。
可愛い?
アイツ等?



ぐっと握られている手に力が加わったのが分かった。



「ムカツク」

「え?」


綺麗な奏の顔が私にぐっと近づく。


「…」

「知ってんだよ」


低い声。
掴まれた手が痛い。


いつもの、奏じゃない。



「奏?」

「俺の前だけでいいじゃん」