そして。
あっという間に夜が明けた。
気持ちいいくらいハッキリ目が覚めて、枕もとの時計をみる。
今までみたことない数字。
過去最高記録かも。
銀色の細い針は、午前5時をさしていた。
夢はみなかった。
あまりに気持ちよく冴えた脳が二度寝を許してくれない。
渋々ベッドからはいでると、それだけで驚くほど気持ちが高揚した。
鼓動が速まって、心が波だつ。
カーテンを開ければ
空は遠く向こうまで澄んだ青。
テレビをつければ
天気は今日一日快晴。
今日はあの人が、人一倍輝く日だ、と思った。
あの透き通る瞳に、青空はよく映える。
あたしは彼のその瞳が
三日月に柔らかくカーブする
あの瞬間、
時間が止まる、というのを体感したのだ。
空を扇ぐ視線は、揺れることなく、ただまっすぐに
黒く透きとおる青空が
三日月に細められて
小さく、小さく揺れる。
それは水の中の世界みたいに。


