佳南と別れて、まっすぐ帰る。
よく寄ったコンビニ
よくたまって色々語った道端
遅刻しそうになって
何度も走った坂道
そこがなくなるわけじゃないけど、こんなに哀しい。
中学生のあたしは、もう明後日にはいないんだ。
着慣れたこの制服を着てこの道を歩くのも、もう後ほんとに何回かしかないんだ。
もっと大切にすればよかった。制服も、鞄も、靴も
『卒業』を考えると、
世界はまるで変わって。
今までそこにあった何かがなくなっていくような。
新品のクリアファイルを鞄から出した。
本当は今日、佳南に見せようと思って持ってきたんだけど。
中には、あたしが初めて作った歌。


