「明日で卒業、か……」 隣で消え入りそうな声で呟かれた言葉は、あたしの胸を小さく揺らした。 「…うん、寂しいね!」 なんだか辛気臭くなってしまうから。あたしは無理に笑って、しょげてる佳南の背中を叩いた。 3月。 中学三年間、過ごした校舎を 冷たい風が吹き抜ける。 オレンジに染まった廊下を 踏み締めるようにして あたし達は、ゆっくり歩く。