三月の告白





「っわ!!!」



後ろから背中をおもいっきりどつかれて、よろけつつ振り向くと、そこには息を切らした佳南がいた。



「びっっくりしたぁぁ!!」



ふふふー、なんてらしくない笑い方をした佳南は、あたしと並んで歩き始めた。

門を抜けて、昇降口に入る。


たくさんある下駄箱は、まだ全部っていっていいくらいにみんなからっぽで。

同じ色の、少しボロくなった上履きだけが、ドットみたいに均等にあるだけで。


なんだか寂しくなった。



いつもの賑やかな笑い声は聞こえてこない。

廊下を走る足音も。

挨拶を交わす声も。



ただ静かに、『いつもと違う』校舎があった。


あたし達はどちらからともなく思わず立ち止まった。


そしてまた、どちらからともなく、靴を脱いだ。