「っわ!!!」
後ろから背中をおもいっきりどつかれて、よろけつつ振り向くと、そこには息を切らした佳南がいた。
「びっっくりしたぁぁ!!」
ふふふー、なんてらしくない笑い方をした佳南は、あたしと並んで歩き始めた。
門を抜けて、昇降口に入る。
たくさんある下駄箱は、まだ全部っていっていいくらいにみんなからっぽで。
同じ色の、少しボロくなった上履きだけが、ドットみたいに均等にあるだけで。
なんだか寂しくなった。
いつもの賑やかな笑い声は聞こえてこない。
廊下を走る足音も。
挨拶を交わす声も。
ただ静かに、『いつもと違う』校舎があった。
あたし達はどちらからともなく思わず立ち止まった。
そしてまた、どちらからともなく、靴を脱いだ。


