三月の告白




「ありがとうございましたー」

―――――――――――――――――――――




コンビニ袋をガサガサ鳴らしながら、鞄につめた。

みんな笑顔の中、一人だけ暗い顔してぶつぶつ言ってるケンちゃん。


「ケンちゃんどした?」
「腹痛いか」

「‥‥割り勘かよ‥俺今月ピンチなの知ってるくせに‥‥」

「頭の色変えすぎなんだよ~!それにもーすぐ高校生だし!お小遣アップだ!な!?」


明るく肩を叩いた佳南に、ケンちゃんが変な顔をして、また笑いが起こる。

なんだか一人でいるよりも、あしどりが軽くなった気がする。


「ライブ、盛り上がるだろーねっ!」


「そりゃまぁみんな来るって言ってたしねっ!」



去年もこの時期、卒業してく先輩方に、『~愛、贈ります~』ってサブタイトルをつけて、ライブをした。

カラオケ帰りとかご飯帰りとかの先輩方がたくさんきてくれて、みんな楽しそうで、最後はみんなで泣いてた。

きっと違う中学の人もいただろうし、なのにみんな一緒になって、お腹がよじれるくらいに笑って、息が詰まるくらいに泣いて。



「俺らの中学のやつらも呼んどいたし」



なんか嬉しい。こういうの。

うちのバンドは何かと行事にはライブをしてて、そのたびクラスの子とか友達とか、先輩、後輩、顔見知りもそうじゃない人達も、みんなが見に来てくれて。

色んな行事を、一緒に楽しんできたから。


みんなの想い出に、あたし達のバンドが関わってるってゆうか、そういうの。





そして。

もしかしたら、あの人もきてくれるかなぁ……?


なんて、淡い期待。


今まで一度も彼の姿をライブハウスで見かけたことはないけれど。