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「ありがとうございましたー」
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コンビニ袋をガサガサ鳴らしながら、鞄につめた。
みんな笑顔の中、一人だけ暗い顔してぶつぶつ言ってるケンちゃん。
「ケンちゃんどした?」
「腹痛いか」
「‥‥割り勘かよ‥俺今月ピンチなの知ってるくせに‥‥」
「頭の色変えすぎなんだよ~!それにもーすぐ高校生だし!お小遣アップだ!な!?」
明るく肩を叩いた佳南に、ケンちゃんが変な顔をして、また笑いが起こる。
なんだか一人でいるよりも、あしどりが軽くなった気がする。
「ライブ、盛り上がるだろーねっ!」
「そりゃまぁみんな来るって言ってたしねっ!」
去年もこの時期、卒業してく先輩方に、『~愛、贈ります~』ってサブタイトルをつけて、ライブをした。
カラオケ帰りとかご飯帰りとかの先輩方がたくさんきてくれて、みんな楽しそうで、最後はみんなで泣いてた。
きっと違う中学の人もいただろうし、なのにみんな一緒になって、お腹がよじれるくらいに笑って、息が詰まるくらいに泣いて。
「俺らの中学のやつらも呼んどいたし」
なんか嬉しい。こういうの。
うちのバンドは何かと行事にはライブをしてて、そのたびクラスの子とか友達とか、先輩、後輩、顔見知りもそうじゃない人達も、みんなが見に来てくれて。
色んな行事を、一緒に楽しんできたから。
みんなの想い出に、あたし達のバンドが関わってるってゆうか、そういうの。
そして。
もしかしたら、あの人もきてくれるかなぁ……?
なんて、淡い期待。
今まで一度も彼の姿をライブハウスで見かけたことはないけれど。


