「…あれ?」
雑誌売り場に、3人。
後ろ姿でもわかる。
佳南にケンちゃんに拓也君。
バンドのみんなだ。
「おはよー!こんな時間に何してんの?」
拓也君の肩をバシッと叩くと、佳南はガサッと音をたてて両手を隠すように背中に回した。
「佳南?」
「お、おはよ怜っ!」
ケンちゃんと拓也君は片手をあげて、いつも通りの返事を返してくれた。
あたしは小首を傾げながら、チョコシューとスニッカーズとキャラメルコーンとメロンパンとガムをカゴに入れた。
「ギャル曾根っ」
「そんな食うの」
「朝飯甘すぎだろ!」
みんなびっくりした目であたしをみるけど。
まったく。あたしは先を見通してるんだからね!
「ちっがうよ!式終わったら、ライブあるでしょ!その打ち上げにさ……」
うちの学校の屋上行かない!?
ってあたしが針金をブレザーのポケットから取り出すと、3人は一瞬ポカンとしてから、あたしと同じようにニヤッと笑った。
「いいね~、燃えるわ」
「今時、針金でどこまでやれるかてきなね!」
「ついでに屋上武勇伝も熱く語りつつのポッキー」
そう言ってカゴにポッキーを投げ入れる佳南に、拓也君が呆れ顔で笑う。
「その話わかんのお前と怜だけじゃん」
「まぁね。うちら他中だしね」
ぶはは、って下品に笑って、あたしはレジに向かった。


