act4.≪漠然≫


嫌い が 好き

に変わるのは
滅多にあるもんじゃない。




「あたしね、
漠然とした言葉って好きじゃないんだ」



他愛ない会話の中で、
ふと思い付いたように、彼女は言った。



「漠然とした言葉ってなん?」
「色々あるけど…『ずっと』とか」





これって便利な言葉だから
あたしも使っちゃうんだけどね

使い方によって『ずっと』
の時間って変わるじゃない?

1時間待っただけで『ずっと待ってた』
って言う人もいるし


『ずっと一緒にいようね』って言ったら
一生とか、そういう意味でしょ?



「なんか、ハッキリしないの」



俺はあんまり気にしたことはなかったけど。

言われてみれば、
確かに彼女らしい考え方だ。