「先輩に向かって馬鹿とは失礼だな」 「失礼でも事実ですから」 しれっと言う英総に対して、霧夜の怒りの臨界点は突破寸前になっていた。 英総はそのことに気づくと、フッと笑った。 霧夜の中の何かが切れそうになっていると、風と共に何処からか花の香りが漂ってきた。 その香りは、優しく、心が安らぐ香り 二人は香りの元を探すかのように周りを見回す。 香りの元は桜の木。 「桜か‥」 「そうですねー」