「霧夜先輩‥?」 前髪に隠れている瞳が真っ直ぐ霧夜を見つめていた。 霧夜はその瞳を見ずに静かに言葉を紡いだ。 「危ないからお前は此処で待っていろ」 消えた彩葉の姿を追いかけて行ったその背中は、直ぐに英総には見えなくなった。 一人、桜の木の下に残された英総の頬は舞い落ちる花弁と同じ色になっていた。 彩葉と霧夜が駆けていった方角を見つめたまま、英総は独り言を呟いた。 「こっちの方が危ないですよ‥」