「ふぅ…寒ぃ…」

汚れた手袋をしているてにほぉっと息をかける。

昨日、たくさん思い出の詰まった孤児院を出た。

中等教育まではされていたけれど、
お金持ちの子供と違って高等教育はされない。
そんな私が就ける仕事は、どこかのお屋敷のメイドだけだった

「ブラッドリー家は…と」

手にもった紙には、今日から住み込みで働くブラッドリー家までの
地図が載っている。

「ここどこよぉ…」

気づいたら、路地裏の道にいた。
なんで?

「ブラッドリー家に10時30分には着かないとなのに」

ただ今の時刻、10時15分。

「間に合わないよぉ~!」

「すみません、何かお困りですか?」

きれいな格好をした少年が話しかけてきた。

「あ、あの。ブラッドリー家ってどこにありますか?」

「こっちだよ」

「は、はい!」

少年についていくと10分くらいでついた。

「ありがとうございました!」

「いやいや、そういえば君、名前は?」

「神田 美羽、miu kandaです」

「そっか…僕は、レオ・アルフォード よろしく」

「いえ、よろしくおねがいします」

そういって少年と門で別れた――――――筈だった