「鈴?怒ってるわけないよ。ただ、心配

して走り回ったけど。」

「えっ、湊が?」

「うん。はっきり言って焦って、不安だっ

たよ。でも、無事で居てくれてよかった。

何かあったらって考えると心配で。」

「ごめんなさい。湊に心配かけて、桐にも

心配かけた。迷惑かけてごめんなさい。」

「なんでそんなこと言うの?」

「えっ。」

「迷惑?そんなこと桐も僕も思ってないよ。

鈴が帰ってこれなっかったのは僕も桐も

知ってるから。」

「・っ・・」

「鈴は強がりだね。桐のこと庇ったから、

こんなことになったんでしょ?」

あまりにも優しい声で湊が話すものだから

涙が溢れそうになった。

「鈴?」

その声が、あの時を思い出す。

湊に抱きついたあの時、不安そうに

呼ぶ名前に泣きそうになった。

湊の声が涙を誘う。言葉に出来ない、

気持ちと一緒に出た言葉は、私の弱さだった。