「どんだけ湊に懐いてんだよ!!」

桐は何かごちゃごちゃ言ってる。

「桐にも懐いてる方だと思うよ。」

湊はふふっと笑いながらコーヒーの入った

マグカップを片手にゆっくりと喋った。

「だって。

桐、良かったね。」

桐は分かってないな。

私が寝起き起こされるとしたら、

湊と桐以外無理だと思う。

まず、安眠が出来る環境がここだけ。

「鈴ちゃん。」

桐がキモい。

「鈴ちゃんッ!!」

「何?」

「今日も冷めてるな。」

冷めてるっていうのがよく分からない。

あたしはいつもこんな感じだ。

「海、初めてなんでしょ?」

「うん。」

海なんて聞いたことしかなかった。

海なんて広い世界私には知らない。

「きっと鈴ちゃんは気に入るよ。」

何で、今日はちゃん付け?

まぁ、別に気にしないけど。

「気に入らなかったら?」

「その時はその場で逆立ちしてやろう。」

何それ?

私何も言ってないのに。

「それは楽しみだな。」

湊がふわりと笑うものだから自然と居心地

よくて自分までフワフワした気持ちになる。

「尚と満にも一応声かけてたから、

迎え行く約束なんだ。」

桐はケータイを確かめる。

「男ばっかり。」

そう呟くと、2人はぶっと笑った。

「何で笑うの?」

何か笑い出すような会話しただろうか?

ちょっとムスっとしてパンを齧る。