いつだってただ誰かに想われていたかった。

愛情という形で与えてくれる人がたった

一人。もうきっと誰からも愛されないと

思ってもきっと今も甘さを捨てきれずに

いる。まだどこかできっと生きている。

私を想ってくれた大切な人が。


「鈴?」

いつも私の異変に気づくのは湊だ。

一番先にわかってくれる。

「何?」

自分の手を見ながら言った。

「手震えてる。どうかした?」

やっぱり。何でもわかってる。

「ごめん。辛い。」

胸の置くから湧き上がる苦しさに

今にでも泣き出したい。

マッグコップを棚に戻す。

「鈴?」

湊の声が心に響く。

どこかで被る。

その優しい声。

目の前が暗くなる。

湊がぎゅっと抱きしめる。

とりあいず店を出ようと

いう桐にみんなが心配そうに

私を見る。

かっこ悪い私はきっと周りから

は変に思われただろう。

頭に残るあのマグカップを

消せずにいる。

近くにあったベンチに座る。

尚と満がジュースを買ってくる

と言い買いに行った。

気を利かせてくれたんだろう。

その優しさに今の気持ちを全部

ぶちまいてしまいたい。