「何言ってんだ。鈴は、ここに戻ってきた

じゃん。」

「違うよ。ここに戻れなかった私を、

正しく言うこの人がいなかったら、ここに、

戻ることなんてしなかったよ。」

「・・・とりあいずさぁ、2階に行って、

桐に服借りて、お風呂に入ってきな。」

「ああ。そうしろ。酒くせーしな。」

「・・ありがとぅ。」

「湊、上行って適当に鈴に服貸してやって

いいから。鈴連れてけ。店は、今日そろそろ

閉めるから。」

もう夜中の12時過ぎたころだった。

「うん。じゃ、鈴行こう?」

「・・・・・・」

言葉の変わりにこくんと頭を振った。

鈴を2階に連れて行く。

相変わらず汚いようで、整頓された部屋。

桐の住んでいる所である2階に到着すると、

鈴をお風呂場に連れて行く。

「お湯はここね。・・大丈夫?」

「・・うん。ありがとう。」

「今、服持って来るね。」

「・・・・うん。」

「鈴。」

そう言ったら、ビクンと体を小刻みに

動かして伏せた。

「・・湊。」

その声が、酷く悲しみに溢れて聞えた。