ハッ−−−





ダメだ、ダメだ、ダメだ!
欲望に負けるな、俺!






慌てて頭を振って邪念を追い払っていると、






「……どうしたの?」






そんな俺を不思議そうに見上げていた乙葉が、さらに顔を近づけてきた。






「いや、なんでもねぇし」





っつうか、それ以上俺の心を掻き乱すなっつうの!







「……なあ、そんなことより、俺がバイクで来てたらどうしてたんだ?」





俺は溢れそうになる欲望を押し殺して、一番星が輝く空を見上げながら、なにげに気になっていたことを口にした。






だいたいチャリさえ乗れねぇくせに、単車だったらどうするつもりだったんだ……?コイツは。






400CCを家まで押して帰るなんて、さすがにキツイんだぞ、コラ。






「それは大丈夫」



「………は?」







大丈夫って、俺なら押して帰れるとでも……?





冗談じゃねぇ、無駄に体力使い果たしちまうじゃねぇか!
(↑なんの心配?)






乙葉の無責任な言葉に俺が少々ムッとしながら三日月を見ていると、






「バイクの後ろなら乗れるから」






クスッと笑った乙葉は、まったく予想もしてなかった理由を言った。






「たまに乗せてもらってたの。バイク持ってた人が結構居たから」






………えっ…???







`