俺が待ち合わせのコンビニに着くと、雑誌に顔半分突っ込んだ状態でブツブツ言ってる女が一人。






………って、アイツかよ。





「おい」





俺の呼びかけにビクッと体を揺らした乙葉は、






「れれれれ…怜二っ!」





明らかにあわてふためいた顔で読んでた雑誌を棚へと戻している。





「は、早かったね?」



「そうか?これでもマネージャーに捕まって遅くなってんだけど、俺」






………ふ〜ん。
“SEXお悩み相談大特集”ね……






乙葉が戻し損ねている雑誌を手に取り、綺麗に陳列し直してやると、赤い顔をさらに赤く染めて俯いた乙葉。






まさか、SEXの悩みでもあんのか……?





一瞬、そんなことを考えてイラッとなる。






「ほら、行くぞ」



「う、うん」






わざと大股で店を出る俺の後ろを、自分の出で立ちも考えずに急いでちょこまか追い掛けてくる様子にちょっと安心してしまった。





………ぷっ……犬みてぇ……
そんなわけないか……
コイツ、処女だもんな。






「なんで笑ってんの?……って、あれ?今日は自転車?」






外に停めていたチャリに乗り込もうとする俺を見上げて、乙葉は不思議そうな顔をしている。






「ああ、バイクは悠紀に貸した……。後ろ乗れよ」






突っ立ってる乙葉にアゴで乗るよう促すと、なぜかみるみるうちにその顔が強張っていった。






「いや……あの……自転車……乗れないんです」






………はっ??







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