乙葉の歩く速さに合わせて、俺も入口へと足を進めた。





“俺の彼女”ってことは、一応周知されてるため、誰も動かないのを横目で確認しつつ歩く俺。





いつから自分はこんなに独占欲丸出しの男になったんだろう……?




ゆっくり歩いてるつもりなのに、それでもいつの間にか速足になってる自分に苦笑いが出る。




外を歩いている乙葉の姿が、一瞬、壁の向こうに消えた。




きっと今頃、店のアプローチの石畳をジャリジャリと歩いている頃……




グイッ−−−
「…っ…!?!」






後数メートルで乙葉のところに行けるはずだった俺のエプロンが、いきなり横から引っ張られて嫌でも足が止まる。





……ちっ…!





「……何でしょう?」





心の中でおもっクソ舌打ちして振り返ると、さっきのお姉さま方が眉をひそめて俺を見上げていた。





「ねぇ、今の女の子、誰?」



「……はい?」



「だから〜、あっ…今入ってきた子よ」





そう言って入口へと視線を走らせる女達に続いて俺も振り向くと、木で出来た重厚感たっぷりのドアの間から、乙葉の体が滑るように入って来るのが見えた。




しかもそのドアは、俺以外の店員の手によって開けられている。




「なんなの?あの子。ルイの彼女?」





そう、その店員とは、どこから現れたのかもわからない、ルイだった。





「あのルイが自分から扉を開けてあげるなんて……」





片手でドアを押さえながら、もう片方の手で優雅に乙葉の右手を口元へと運んでいるルイの金髪が肩の上をサラサラ落ちていくのを、俺も女達も唖然として見つめた。





……チュッ…





ア、アイツ……





わざとらしいリップ音が聞こえてきた次の瞬間には、慌てたように顔を赤くしながら手を引っ込めた乙葉のはにかんだ笑顔が、俺の心臓をチクリと刺す。





ぶっ殺す!!







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