不本意な呼び名で呼ばれて不機嫌になる俺をクスッと笑うと、ルイは目の前の椅子に座った。
長い足を組み、肩まで伸びた綺麗な金髪をかきあげて微笑むルイ。
その名の通り、フランス貴族のような容姿をしている。
「乙葉ちゃんから連絡がこない、とか……?」
「はっ、ちげぇよ……」
厄介なことに、勘も鋭いときた。
ふんわりしてるようで、それでいてなかなか侮れない性格のルイは、顔は笑っているものの、細めた目は鋭く俺を観察しているようにも見える。
「クスクス… 綺麗な顔が焦りで歪んでいくのも、見てて楽しいね……」
「はぁ?焦ってなんかねぇよ……、ってか、俺もう行くわ」
これ以上詮索されるのはごめんだとばかりに俺が立ち上がると、
「付き合って…3ヶ月なんだって……?」
人の気分なんてお構いなしって態度で尋ねてくる。
なんなんだ、その図々しさは……
「……だったら、なに?」
「ふ〜ん… ちょうど飽きちゃう時だなって…」
「はっ??」
ルイの方が3つも上だが、バイト歴は俺の方が2週間早い。
これでも一応、普段は気を使ってるつもりだけど、この言葉にはさすがにカチンときた。
「飽きるとか、飽きないとか、今の俺には関係ない話だし。
っていうか、ルイにはもっと関係ない話だろっ……」
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