悠然と玉ねぎを炒めだした凌ちゃんをぽかんと見上げた。





何て言うか……すべてが、上手……?





たしかに頭ごなしに反対されてたら、あたしは家を飛び出していたかもしれない。





「あたし、別れないから」




ぽつりとその横顔に確かめるように呟くと、「せいぜい料理でフラれないようにな」なんて、余裕な笑顔で返された。





ムキーーー!!





やっぱり超ムカつくーーー!!!





「今から1週間、みっちり料理・洗濯・掃除、教えてもらうから!」





こうなったら、怜二をとことんあたしに惚れさせて、宙 ぶら太なんて呼ばせないようにしてやるっ!






「ああ、言われなくてもみっちりしごいてやる。
乙葉の花嫁修行、楽しみだな〜」





鼻歌まで飛び出した凌ちゃんに、





「望むところよ!」





一喝したところで、





ガチャ−−





「たっだいま〜♪
今日のご飯はな〜に?」






タイミングがいいのか悪いのか、雰囲気を一瞬でぶち壊す声がして、あたしは鼻を鳴らして作業を開始した。





直後に一瞬複雑な顔をした凌ちゃんの、本当の反対理由なんてまったく気づかずに……







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