【続】ギャップ的恋愛論





カフェ・ラリック―――




ここが怜二のバイト先なんだけど、あたしのママの会社である“M&Aカンパニー”が半年前にオープンさせた店でもある。




20代の女性を主なターゲットにした店内は


無機質なコンクリートと温かみのある木目調が上手くコントラストしてて


かなりお洒落な雰囲気のカフェに仕上がっている。



そこにわざと眉目秀麗な男性店員ばかりを集めてるんだから


それはそれは繁盛しまくり儲けまくりって感じで。




実はウチのママ、有名ホストクラブの経営者でもあるんだけど、この店、その手の業界の間じゃ、“人気ホストの登竜門”って言われてるような店らしいんだ。




実際、2ヶ月前までウエイターをしていた人は、そのあまりの人気ぶりにホストクラブへ格上げさせたらしいんだけど、そこですでにトップ10入りしてるんだとか。




そんな噂が噂を呼んで、バイトの面接に来る人は、たいてい将来は売れっ子ホストを狙ってる男の人ばかりで、そりゃ見た目も上々。





お客さんからしても、自分が目を付けたウエイターが、人気ホストに登り詰めていくかもしれないってワクワク感があるらしくって。




おかげで店内は、自分を売り込もうとするイケメン店員と、そんな店員をギラギラした目で見つめる女性客で、毎日溢れかえっている。





怜二はそこにもちろん素顔(あたしの中ではこれを“怜二モード”って呼んでるんだけど)でバイトしてて、当たり前にかなりの人気なんだとか。




もちろん、マネージャーの郷野さんには“怜二の監視”をきつくお願いしてはいるけど。




彼女のあたしとしては、オーナーの娘として監視できる半面、出来れば早く違うバイト先を探して欲しいところでもあるんだよね。





そんな獣(女性客)の中に、自分の大事な彼氏をいつまでも置いておけないでしょう?






なのにさ、怜二ってば



『バイトだから…』



ばっかり……










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