「……アンタの頭ん中、いっぺん割って見てみたいわ……」



「………」





頭を、割るっ!?





言うことまで凶暴化してて、かなり怖い。





なるだけ朋歌から離れた位置へとこっそり移動するあたし。





よく4年も親友関係が続いてきたものだと、自分に感心してしまう。





「あの神木が金に困ってる?」



「う、うん……」






声は小声だけど、しかめっ面で顎をしゃくってみせた朋歌は、態度極悪。





「あんなに高級時計を持ってる奴が……?」



「えっ……うん」



「だったら売ればいいじゃん?あの時計を」



「それはダメだよ! あれはお父さんからの誕生日プレゼントだって言ってたじゃん」





朋歌の言う時計というのは、一度だけ朋歌と一緒に怜二の家に突撃訪問した時に見かけた、某高級腕時計のコレクションのことを言っているんだと思う。





あの時怜二は、あたしが唯一場所を知ってる実家のマンションに、たまたま荷物を取りに帰ってて、それを知ったあたしが朋歌に何気なくそのことを言うと、





『神木の素顔が見れるチャンスじゃないの!』





なんて言って、無理矢理あたしを連れて行ったんだよね。





『ムムム……予想以上のイケメン…!』





初めて生の“怜二モード”を見た時も興奮してたけど、それ以上に朋歌を興奮させたモノ、それが怜二が部屋を出て行った隙に見つけた腕時計の数々だった。





『なんじゃこりゃ!? めっちゃ金持ちの塊があるやないか〜い!!!』






“金持ちの塊”って表現はどうかと思うんだけど……







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