再び“キモダサ野郎”へと変身した怜二に寄り添いながら階段を下りていくと、あともう少しというところで、怜二の体がふっと距離を取った。




「なんで……」




ブレザーの端を掴み、もっと離れようとする怜二を止める。





「俺と一緒に居るところ、あんまり見られたくないだろ?」





何を今さら……




最初っから付き合ってることバレてんのに……





「お前まで変人扱いされるぞ」



「いいよ、変人だってなんだって。あたしは怜二の彼女なんだもんっ!」



「だからって、わざわざ学校でひっつかなくても……」





いいじゃねぇか、と腕を絡ませたあたしの指を引き剥がしながら、怜二が呟く。





「学校でも、外でも、いつでもこうしてひっついてたいの!」




それを頑として振り払って、さらにギュッと巻き付けた。




そんなあたしを呆れたように見下ろしながら、怜二はことさら大きなため息をついている。





「ったく………勝手にしろ…」



「うんっ!勝手にする!」





だってあたし、彼女だも〜ん!




緩みっぱなしの顔で怜二の腕に頬をスリスリしながら教室まで歩いた。




「何か言われたら、保健室に行ってたってことにするからな……」




そう言って、今度こそあたしの腕を強引に外した怜二は、開けたドアから中へと入っていき、すみません…とだけ初老の英語教師に伝えた。




あたしも後に続いてコソコソと中に入る。




英語教師はたいして気にした風でもないのか、すぐに授業を開始した。




もちろん怜二はいつもの定位置、教卓どまん前の席へ。




あたしは……後ろから2番目。
朋歌の隣の席。






「で……なんで無視?」





座った途端、ケータイをちらつかせながら物凄い形相をしている朋歌と目が合ってしまった。





ひぃぃっ!?





やっぱり戻って来るんじゃなかった〜〜〜〜!!!







´