「あのさ、ちょっと小耳に挟んだ話なんだけど……」
“くるくるぱ〜”の呪縛から未だ抜け出せず、必死に下を向いてるあたしの顔をぐいっと引き上げながら、朋歌が意味深に耳元で囁いた。
「なに……?」
この女の話って、たいていあたしを悩ます根源になるんだよね……
心の中に警戒バリアを張り巡らせながら、あたしはニヤニヤしてる親友の次の言葉を待つ。
「ニュース見た?」
「???ニュース?NEWS?」
本気でどっちかわからない病み上がりのあたしの頭をぐりぐり小突きつつ、このくるくるぱ〜めっ!と怒る朋歌。
「ニュースよ!新聞とか、テレビ、見てないの?
ウチの学校の話題が出てたでしょう?」
「痛い……、見てないよ…ニュースなんて……」
病み上がりのか弱い女になにしてくれんのよっ!
「神木にも聞いてないの?」
「なにが?」
「っていうかアンタ達、ちゃんと上手くやってんの?」
いきなり話の本題がずれる朋歌に呆れながらも、あたしはそこは力強く頷いた。
「あったり前でしょ!毎日メールメールメール……」
「………メールだけ?」
「メールだけですけど?それが何か?」
「しかもそれって、アンタからだけでしょ?」
うぐっ……痛いところを……
「ちゃんと返信くるもん……、かなりの時差があるけど……」
「やっぱり。
学校ではほとんど話してるとこ見ないし、みんな言ってるよ?
“世紀のギャップカップル破局か!?”って」
「破局してないっ!」
んもうっ……
好き勝手言ってくれちゃって……!
「怜二に言われたんだもん……」
学校では必要以上に話かけるなって。
あり?
それって……よくよく考えたら破局に近いってこと……?
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