『ホストみたい』





『凌ちゃん達とおんなじ匂い』






そこら辺の女から言われる分にはどうってことないけど、コイツから言われるとかなりキツいかも。






なにせ本物のホストに囲まれて育ってきたような女だから。





かなり……めちゃくちゃ説得力あり過ぎだ。





ホスト、か……





ゆるゆると腕の力が抜けていく俺に気付いたのか、はっとしたように乙葉は息を飲んだ。





「ええっと……怜二……?」





俺って……





「そんなにホスト化してんのか……」



「ううんっ、違うっ!
怜二にホストは似合わない!!」



「だって今……」






お前がホストみたいって言ったんだろ……?





「確かに、目つきとか、手慣れた手つきとか、すごくホストっぽいけど、怜二にはホストなんてして欲しくないの!
あの店のせいだよ!
娘のあたしが言うのも変だけど……
お願い!あんなおかしな店、今すぐにでも辞めて!!」






必死に訴えてくる乙葉の手が、俺の胸元を掴む。






ラリックを、辞める……?





その手をゆっくり剥がしながら、俺は視線を外して正直な気持ちを打ち明けた。






「悪い……今は無理だ……」





今はまだ……辞めるわけにはいかないんだ……







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