今や俺の腕の中へと閉じ込められた乙葉は、どうすればいいのかわからないのか、しきりに瞬きばかりを繰り返している。





何か言いたいのか、口は開けたり閉じたり。





「どうする?そろそろチャイム鳴っちゃうけど……」



「ど、ど、どう……って……」






ククク……
そんなに緊張されると、ますます止まんねぇぞ……?




顎に添えていた指で、グロスでツヤツヤした唇をひと撫ですると、ピクリと綺麗にカールされた睫毛が反応した。






「話をする?それとも……」





顔を傾けてさらに顔を寄せていく。





「……ほっ……」






唇が触れるあと数センチのところで、小さな声を上げた乙葉。






…………ほ?





「れ、怜二……」



「………ん?」



「本物のホス…ト……みたい……」






はっ???





固まる俺を見上げたまま、乙葉は少し泣きそうな声でもう一度言った。






「今の怜二、凌ちゃん達とおんなじ匂いがするっ……」






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