そんなことを考えながら歩いていたら、いつの間にか目の前には見慣れた学校がそびえ立っていた。





チャリを押してブツブツ独り言を呟いていた俺を、またもや周りの奴らが奇異なモノを見るように通り過ぎて行く。






ああ、これでいいんだよ、これで。





俺はお前らにとって気色悪い“キモダサ野郎”で、そうそう関わりたくない存在に位置しているはずなんだ。





そんな周りの反応に満足しながら、猫背でチャリ置場へ向かう俺を、





「怜二!!」





切羽詰まったような声が呼びとめた。





見なくても、だいたい予想は付いている。





というより、この学校で好んで俺に話しかけてくるのはこの女くらいだしな。





「おはよぉぉ!」





ただ振り返ってみせただけの俺に、満面の笑みを浮かべて寄ってくるこのギャル風女は、





「待ってたんだからっ!相変わらずケータイ出てくれないしさっ」



「悪い、すぐそこまで来てたから……」



「もうっ、彼女からのラブコールくらい、その場で出て欲しいのに」





そう、俺の彼女となった 呉林 乙葉。




敢えて俺にずっと“キモダサ野郎”バージョンで居て欲しいと言う、相当物好きな女。






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