恐い…… 




恐いよ……





まるで噛みつくような唇の動きに、だんだん恐怖心が増してくる。






「……お願い…、聞いて…」





それでもなんとか震える唇でそう伝えると、一瞬怜二の動きが止まった。






「あたし、怜二みたいにこういうこと慣れてないよ……」



「なんだよそれ。嫌味か……?」





首筋に顔を埋めたままの怜二から、心底冷たい声がする。





でもここで怯んだらきっと後悔する、そう思ってあたしは必死に言葉を続けた。





「嫌味とかじゃなくて……、あたしが怜二に嫌われたくないの。
前に言ったでしょう?処女はめんどくさいって」






まだ付き合う前だったけど、きっとアレは怜二の本心だったと思うから。





「ああ、言ったな……」





………っ…!





予想していたとはいえ、あっさり肯定した怜二の言葉に、ズキンと胸が痛んだ。






「だからなんだよ?」



「……だから…だから…」





ショックで勝手に溢れてくる涙で、言葉が上手く喋れない。





お願い、わかって……!




あたしは怜二に少しでも嫌われたくなくて頑張ってるんだよ……?





顔を上げた怜二の冷ややかな視線に耐えながら、代わりにそう願いを込めて見つめ返す。





それなのに、怜二から返ってきた言葉は、さらに残酷なものだった。






「はっ…、俺に嫌われたくなくて、先に他の男と練習したっていうのかよ?
どうせDVDだってその男から借りたんだろ?今度はこういうのヤろうとでも言われたか?
冗談じゃねぇ!俺は……俺は……」








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