乙葉がつまずいたのは、自分のバッグだった。






口が全開していたのか、引っかけた拍子に、その中身が至る所に散乱している。





「痛いとこないか……?」





俺が一番手近にあった化粧ポーチに手を伸ばしながら聞くと、






「大丈夫… ごめん、あたしってばやっぱりドジだよね……?」






しゅんとなった乙葉は、そう言って目の前に転がるキーホルダーを拾った。






まあ確かにドジだけど、元はと言えば俺が悪いんだしな……






「こっちこそごめん、イジメ過ぎたな……」






背中を向けている乙葉の頭を撫でて、俺は一番勢いよくフローリングを滑っていったモノを取りに行こうと立ちがった。






………が、






ソレが何であるかに気づいた時、






………っ…!?!






俺の中で、何かがプツリと切れた音がした。







「……なんだよ……コレ」





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