呆気にとられたといえば、かなりとられた。






だけど……






なんなんだ?






この心の底から沸いて来るような感情は……






今やコタツからこっそり目だけ覗かせている乙葉を見ていると、とにかくもう、抱きしめたい!って気持ちがぶわっと沸いて来るのを感じる。






「………おい」



ビクッ−−



「おいってば…」







俺の呼びかけに再び体を震わせた乙葉は、慌てた様子で俺に背中を向けた。







………ったく、警戒心の強い猫だな、お前は。







その細い肩を掴んで、






「こっち向けよ」






俺が無理矢理こちらを向かせようとすれば、






「ムリだよ……
さっきのこと、まだ怒ってるんでしょ?」







テーブルの脚にしがみついて、必死な抵抗をみせる猫。






………そこで爪でも研ぐ気かよ?







「さっきって?」



「だから… あたしが店に行った時に……」






ああ… あのキスのことか。





そりゃ確かにムカついたけど。






「怒ってねぇよ。あれは手袋にされたんだろ?」



「そうだけど……
怒ってたじゃん、さっきも今も」






俺のフォローも聞きいれず、まだまだ警戒心剥き出しの猫は、そう言ってさらにしがみつく手に力を込めた。






………おいおい、どう考えてもしがみつく相手が違うだろーが。







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