自転車に乗れないあたしは、今日もてくてくバス停まで歩く。




しかも昨日まで風邪でダウンしてて、3日ぶりに歩く道が寒いのなんのって。




そりゃそうか……
もう木枯らしがバンバン顔に当たってくる12月だもんね……




ピュゥウウ〜




「さむっ……」




冷たい北風から身を守るため、せかっく30分かけてメイクした顔をマフラーですっぽり隠し、やっと辿り着いたバス停であたしが身を縮こませていると、




「おっはよ〜〜〜!!」




後ろからチョップ付きで、何か重たい物体が飛びついてきた。




「ぐぇっ…!?く、苦しい〜〜」



「ああ、ごめんごめん。
向こうからアンタのくるくる茶“ぱ”つ頭が見えたからさ、つい嬉しくて……」



「くるくるって……!?!」




朝っぱちから人の自慢のエクステに、この失礼極まりない言葉をくれたのは、あたしの中学からの親友(のはず?)の朋歌。




そしてあたしは-――






「ほらっ、いつまでもぶすくれてないで、バス乗るよ!乙葉!」



「くるくる……茶“ぱ”つ……
それって……あたしが“くるくるぱ〜”ってことっ……!?」





巻き髪&完璧メイクだけが取り柄の、




呉林 乙葉
こう見えて、まだ高1です!!




……って、
今の雄叫びをバスの乗客にも聞かれて、なにげにめっちゃ笑われてるんですけど……






恥ずかしいよぉ…





「そんだけ元気なら、もう大丈夫そうね……」



「はい……すばらしく元気です……」





空いてた席へと座りニッコリ笑う朋歌の隣に、おずおずとあたしも腰を下ろす。
もちろんマフラーで最大限に顔を隠しながら。





この女……本当にあたしの親友なんだろうか……?





この解せない疑問は、隣の人物にはとてもじゃないけどぶつけられない。






だってこの人、怒るとめちゃくちゃ恐いんだもんー!!








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