「さすがにしし座流星群は見えないわね」
「いいさ。僕にはもっと素敵なものが見えているから」
「なに」
「君の横顔さ」
芝生に腰掛けた恋人達は、恋の女神が二人だけに許した永遠の時間を楽しんでいた。
「もう、フィガロったら。そんなくさいセリフで、トコジョーズ3な私を落とせるとでも・・・」
「スザンナ!」
フィガロはスザンナの手を握り締めた。
「あッ!あっ、あの・・・あやとりでも、しましょうかっ。私ったらあやとりさせたら指先セクシー邪馬台国ベストイレブンに入るような・・・」
「スザンナ・・・」
フィガロはスザンナを抱き寄せた。フィガロの目が、スザンナの目を捉える。
「フィガロ・・・」
スザンナはまぶたを閉じた。
月明かりに照らされ、二つだった影がひとつに重なる。
川のせせらぎだけが、恋人達に聞こえていた。