ストロベリー艦長が高らかに宣言したとき、彼らがいた艦橋のずっと足元の方から、ドォォオン・・・と鈍く重い爆発音が響いてきた。
「何だ今の音は!?潜水艦の攻撃を受けたのか!?」
「違います!艦長、電源室オーバーヒート!原因不明です!エネルギーゲインが低下しています!」
「なに!この一大事に、不具合が発生したのか!?予備電源に切り替えろ!」
「艦長、そんなものありません!駄目です、エネルギー回復しません!しゃちほこ、沈黙します!」
艦内にブゥゥゥン・・・と不気味な音が響き渡り、やがて途絶えた。邪馬台国が誇る最新鋭のイージス艦は、ただの巨大な鉄の塊となって夜の海上に漂った。
「・・・だから乾電池なんか駄目だって言ったんだ。通信兵、無線くらいは使えるんだろうな!?本国に知らせろ、作戦は中止だと。それと、救助要請だ」


邪馬台国イシュタルパレスの祈りの間にて、卑弥呼は苦々しい表情でエンキドゥから受話器を受け取った。
「もしもし、日本国首相のパト山です」
「卑弥呼じゃ」
「本日未明、日本領海を漂流していた国籍不明の戦艦を拿捕しました。日本はこれを不審船として処理すべきか、友好国の故障船として保護すべきか、まだ判断に迷っているところでしてね」
「・・・条件は何じゃ」
「日本とアメリカの準備する協定会議のテーブルに女王のご出席をお願いいたします。あと、そちらが拘束している邦人の解放を」
「フン・・・ッ!アメリカが入らねば会議も開けぬとは、大和魂はどこにいったのじゃ」
「・・・邦人解放が確認できしだい、乗組員をお返しいたします。女王、あれは素晴らしい船ですね」
電話が切られた。
卑弥呼は何も言わずにただ憂いを帯びた目でエンキドゥを見つめた後、祭壇に向かって祈りをささげ始めたのだった。