相田は部屋を見回した。冷たく厚いコンクリートの壁とだた一つの出入り口である施錠された鉄格子、壁際にすえつけられた粗末なパイプベッド。テレビなどで見たことのある、自分には無縁だろうと思っていた世界がそこにあった。
「まさか異国の地で拘置所暮らしを味わうとはな。クソッ!せっかく乾電池を買い占めて、極を逆さにする細工までしていたのに、あいつらのルートに仕込む前に捕まっちまうとは!」
「だから俺達ではどうにもできないと伝えたのだ。もう遅いがな・・・」
「川口、お前が勝手に出した手紙の内容はそれか。返事がエンキドゥに見つかったぞ」
「これで日本は後手後手に回らざるを得なくなったな。後はもう、政府の動きにまかせるしかないな。俺達は、事が終わるまでここで缶詰だ。卑弥呼が予言した、俺が将来勲章を貰うっていうのははずれだったな」
川口はちから無くHAHAHAと笑った。

同時刻の太平洋上。邪馬台国の最新鋭イージス艦・しゃちほこが日本の主要都市を攻撃すべく北東に向かって波を切って進んでいた。
「ストロベリー艦長、もうすぐ予定地点に到着します」
「そうか・・・では、本国の宣戦布告と同時に戦略ミサイルをもって東京と大阪を制圧する。この作戦を持って、我らが邪馬台国は米国主導の歴史に終止符を打ち、新たに始まる東洋の時代の主役となるのだ!」