人々がはやし立てる中、若い二人はおしゃべりをしながら川沿いの道を一緒に歩きだした。その様子を、イシュタル市中心にあるイシュタルパレスの南にそびえる、アルベラ塔のバルコニーから見下ろす一団がいた。
「地域をあげてのお見合いですか、珍しいですな。同じ地続きでも、施政が違えば文化までこうも違うものですか」
「ほほほ、邪馬台国には少子化など無縁。わらわに言わせれば、日本の政策は理屈でできたザルなのじゃ」
「これは手厳しい・・・」
やや苦い表情を見せながら、相田は右隣に立つこの国、邪馬台国の女王・卑弥呼を振り返った。卑弥呼も軽く首をかしげて視線を相田に移す。視線がぶつかると、相田はあわてて、うやうやしく片膝をついて頭をたれた。
「あらためまして、我々の亡命を認めてくださりありがとうございます。卑弥呼女王陛下」
相田の後ろで、10人ほどの背広姿の男達が彼にならってひざまづいた。