「世間の認知度は低いけどね。あまり知られていないけど、人間のフリしてメジャーリーグで活躍しているハトもいるくらいだよ。これはここだけの話、嘘だけどね」
「もう、フィガロったら!」
「でもペンギンのフリして動物園で荒稼ぎしてるハトがいるのは本当さ。鳥類どうしだからギリギリばれないんだよね、色さえ合わせとけば」
恋人達はたわいない会話を通して、お互いのしぐさ、表情のひとつひとつをいとおしく想いあうのだった。


「おお、昨日のカップルが成立したようじゃな。良いことじゃ」
アルベラ塔のバルコニーでは卑弥呼がエンキドゥをしたがえ、恋人達の仲むつまじい様子を見下ろしていた。
「人々が平安に暮らせるのも、女王陛下の治世があればこそです」
「ふふ・・・エンキドゥ、あの政策は国民にどう取られておるかな?」
「思ったより混乱もなく、それなりに好意的に受け入れられているようです。不満もなく税収も増えるのですから、これに関しては立案した彼らを評価しても良いでしょう」
「奴らは冗談のつもりだったようじゃがな。日本では違法で楽しめん代物じゃ。これを目当てに観光客の増加もあるじゃろう。金勘定ばかりに気を揉まされるのは不本意じゃが、あれが完成するまではそうも言っておられまい」