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「もしもし?」


「はい?」


「これツヨシの電話じゃないかな?」



その電話の主は男性だった。


声の感じ、話し方のイントネーションから、
だいたい年齢は近いと感じた。



「いえ、違います。」

「あ、そうですか。ごめんなさい!」

「はい、では失礼します。」




私は、終話ボタンを押した。


あずさと愛子は、興味津々の様子で私を見ている。



「間違い電話だって。」
「へぇー」


少しの沈黙が流れ、隣で愛子が手帳をひらげた。



「でさぁ、次の家庭科の課題やった?私裁縫嫌いなんだよね」



私は思わず勢いよく顔を上げ、愛子を見た。



ヤバイ、キレイニワスレテタ。



家庭科の課題話のおかげで携帯にかかった、間違い電話など
飲んでいたお茶のパックと共にゴミ箱に捨てられた。