私。


中学時代に初恋をした。相手は隣中学の男の子。


同じ塾に通っていた。


少し日本人離れした顔立ち。


塾の友人に聞くところ、かっこいいからモテるのにすごく恐いから誰も近寄らないよ、一度告白した子が目の前でうざいって言われてたと、私に言った。


彼は確かに無口であまり物を話さない。


話しかけても無視をしたり、聞き流したり、睨んだり。


でも、そんな彼を大好きだった。


中学2年で一世一代の告白めいた事をした。


彼は私を無視した。そのまま通り過ぎた。


ショックのあまり塾に行きたくないと思ったが私は負けたくないと気持ちと戦った。


彼は次の日、私の帰り道で待っていた。


交わした会話はごく普通なものだった。


私はそれでも嬉しくて下を向いて頷きながら泣いていた。


それから少しずつ仲良くなった。私以外の女の子を話さない彼が好きだった。


彼の行動、仕草、声すべてが私をときめかせた。


彼にそれを伝えると彼は何も言わずに私の手を強く握った。


初めてキスをしたのは、二人が中学3年になった頃だった。


帰り道、歩いてる私の後ろを歩く彼。私は一方的に話をしていた。あいづちすら、あまりしない彼。聞いてないわけじゃないから話していた。


信号待ちの時に彼が私の首筋に顔を近づけた。


びっくりして振り向くと彼が私にキスをした。


一瞬ひどく驚いた。彼の離れていく顔。切なそうに私を見つめながら。


私は彼に手を引っ張られながら、マンションの物陰に隠れた。


私たちはキスをし続けた。


両手を強く握り締めながら、時間も忘れて。


その時初めて、「恋」を実感した。