昼になり、あずさと愛子がお昼を食べに屋上に誘ってきた。



「屋上今日もいい天気だから行こうよ!」


「わたしコンビニでおいしいチョコ買ったからあげるよ」



私は大好きなチョコよりもポケットにある携帯が気になっていた。


本を開いても、頭に入ってこず、同じページを穴が開きそうなほど見つめていた。


二人がお弁当を食べ終わり、チョコを開けておいしそうに食べ始めた。


二人の制服のリボンが揺れているのに目を奪われていた。



私の右太もも辺りに振動を感じた。


携帯だ。


私はポケットを慌てて弄る。



・・・・・・カツジだ。



私は親からの電話だと言い倉庫の裏に逃げるように隠れた。



「もしもし。」


「俺だけどわかる?カツジ」


「うん。」




変な緊張でまた心臓がうねる。



「君はいくつ?俺は16。」


「わ、私も。16。」


「ウソ!ホントニ?」


「う、うん。」


「高校1年だよね、俺も!」




声が突然明るくなったのを私は感じた。



「こんなこと聞くとさ変な人に思われるかもだけど、どこに住んでるの?」



彼が言った自分の高校の都道府県に私はびっくりした。


今私は同じ土地にいたのだ。


同じだと言えず、私は黙り込んだ。



「ご、ごめん。何か困らせたみたい」


「ううん。」


「携帯はどこの会社?」



私は素直にその会社名を言った。



「俺も一緒!だから暇ならこの番号にメールしてよ!」



完全に彼のペースに引き込まれた。


私は分かったと、じゃあねを早口で言うと


勢いで終話ボタンを押していた。


でもなぜかこの偶然を嬉しく感じていた。


携帯を握り締めて、力一杯背伸びをした。