そうだよ!私すごく危ない!
集団リンチされてもおかしくない…
ファンレターにカミソリの刃入れられてたり、
あっ!衣装ビリビリにされてたり!?
「あの、珠季ちゃん?
一旦戻っておいで!」
「それはいやぁぁ〜!」
「珠季ちゃんっ!?
ちょ、カムバック!!」
周りがどん引きしていることにも気付かず、私は妄想界で不幸のドン底にいた。
そして、それから5分後。
ようやく落ち着いた私はスタッフに謝って、会議を再開してもらった。
「ボーイッシュ路線というのは分かりました。
が、スニーカーをNGにするというのは…?」
手を挙げ発言したのは、衣装部のチーフ、松永さん。
パンクな格好をしたオジサンで、すごくインパクトがある。
「うん。そうだね、スニーカーがダメというか…
珠季ちゃんにはヒールしか履かせたくないんだ」
へっ?
「でもそれじゃ私が女だってばれちゃいますよ?」
「いいんだ、それで。
むしろ、ばらすためのヒールだから」
「「……はっ?」」
岬さんのこの言葉には、一同口を揃えた。
「あ〜なるほど!
そういうことですか!」
…松永さんを除いて。


