そして新年を迎える直前。


まだ眠気が残る朝8時。


その人はやってきた。




「―――…というわけで、ぜひ君に曲をお願いしたいんだが…
やはり、厳しいかい?」


お父さんへのお客さん。


何でも芸能事務所の社長さんで、
お父さんの大学時代の友人らしい。


指揮者として活躍する一方、
たまに作曲活動もしているお父さんに、
曲の依頼をしにきたらしい。


「そうだな…時間的に厳しいな…

――…いや、何曲かストックがあるから、
その中から選んでもらうことならできるが?」


「あぁ、それはありがたい!
君の作品なら信用がおける。」


「じゃぁ私の部屋にあるから聴いてみてくれ。

珠季!!この方を父さんの仕事部屋まで案内してくれ」


「はーい。」