「そうか…いや、実はだね…

君と、馨たちのバンドのコラボレーションで、
君をデビューさせてみようかと考えているんだよ」




岬さんのその言葉に驚いたのは、
私だけではなかった。




「それ、本当ですか!?」

「彼女とHANDS.を!?」

「そんなことしていいんですか!?」



会議室に集まった30人以上のスタッフがざわめき始めた。




「もちろん、君のお父さんが作った
あの曲で、ね」


確信犯めいた岬さんの笑顔。


まだ会議室のざわめきは静まらない。


スタッフ達の顔にはどこか
『不安』と『好奇心』がにじみ出ている気がした。




空気を割ったのは、江上さんだった。


「それには、私も賛成です。
皆さんに異論が無いようでしたら、
さっそくその計画を進めていきたいのですが。

――いかがですか?」




その言葉で、江上さんはスタッフ達を黙らせてしまった。


皆の顔から『不安』が消えていく。





「よしっ!やってやりましょう!」

「ミリオン狙いましょう!」

「衣装はどういう風にしましょうか?」



次々に言葉が飛び交い始め、
私の未来が決まっていく。