南波馨という人間はどういう思考回路をしているのだろう。
「デュエット…ですか?」
「せやせや!!
自分と一緒に歌いたかってん、俺!」
せかせかと私を引っ張る馨。
あ、私と身長同じくらい…
「でもあの、私は歌詞も知らないですし…」
「ほれ、歌詞カードくらいあるわ!」
「でもあの、伴奏無しじゃ音も合うか分からないし…」
「伴奏っ?
あー、そんなら気にせんでええよ!
―――レオ!早よ起きぃ!」
不意に、馨がスタジオの隅にあるドラムセットの方に声をかけた。
レオ……?
だれかいるの…?
「……んん"〜…何?
…もう皆来たの…?」
ムクリ、と起き上がる人影がドラムの裏側から見えた。
「ちゃうちゃう!
あんな、伴奏してくれへんか?」
「ふぁ〜…伴奏?
…て、何で?」
「この子と新曲でデュエットしよう思てな!」
馨のその言葉に、“レオ”がこちらにやってくる。
「…ふぅん」
――ビックリした。
馨も整った顔立ちをしていたし、
芸能人だから綺麗な顔をしているのは分かっていた。
だけど。
“レオ”の顔は、綺麗すぎる。


