エンターテイナーズ




次に案内された三階には仮眠室と食堂があった。


仮眠室はまるでカラオケボックスみたいに、
個室がズラリと並んでいた。


50はあると思う。


“使用中”の札がかかっている部屋の窓をのぞくと、
白いベッドの中から茶色い髪がちょびっとだけ見えた。


「ここを使うのはほとんどが所属タレント達です。
あれもおそらくそうですよ」


って江上さんが後で教えてくれた。


札がかかっている部屋は歩いていくとちらほら見つかって、
この向こうにはブラウン管の中でしか見れない人達が眠っているのだと思うと、
変な気分だった。




食堂は食堂と言うよりもカフェテリアの外観で、
ご飯時じゃないこともあって人はいなかった。


江上さんが貰ってきてくれたスムージーはハチミツと生姜の味がして、
もうすでに私は歌手としての扱いを受けているのだと気付いた。


スムージーを飲むと、喉が潤っていくのを感じた。