まず案内されたのは二階にある事務局だった。
たくさんのデスクが並んでいて、
所属タレントのものらしき広告があちこちに貼ってあり。
忙しそうに働いている人たちはやっぱり男の人が多かった。
「男性社員が多いんですか?」
って江上さんに聞いたら、
「女性でここに来たがる人は、動機が不純な場合が多いんです」
と、苦笑していた。
そっか。
男ばかりの芸能事務所なんて、
女の人には魅力的なんだろう。
だからつい……
「江上さんは?
興味ないんですか?」
なんて失礼なことを聞いてしまった。
「あははっ!確かにそうですね!
生憎私は、美形にはときめかないタチなんですよ」
「……は………?」
「んー、俗に言う“B専”ってやつですかね」
あっけらかんとカミングアウトされた江上さんの“ブサイク専門”に、
私が『この事務所って何なんだろう…』
と思ったのは秘密。


