それからしばらくもしない内に、
エレベーターが開いた。
下りてきたのは女の人だった。
「初めまして、汐珠季さん。
案内係をさせていただきます。
江上凪と申します。
どうぞお見知りおきを」
ニコッと笑ってお辞儀をする江上さんはすごくキレイな人だった。
ヒールは低いのに、私より10センチ近く高い。
ストレートボブの黒髪もよく似合ってて、ダークグレーのスーツが格好よかった。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
すこしだけ江上さんに見とれていた私も、
あわててお辞儀を返した。
「では、さっそく行きましょうか」
「はいっ」


